Day81. 「問題学生」を担当して気付いたこと

今日はね、ウチの子ども達の話しじゃなくて
よそのお宅のお子さん達のお話しです。

自分、病院で理学療法士をしてるんですけど、
同じ職業を目指す学生さんたちが病院実習
くるんですね。

学校の先生になるために教育実習って
あるじゃないですか。あれの病院版ね。

短いと3週間くらい、長いと2か月くらいの期間、
一緒に患者さん診たり病棟のカンファレンスに
連れて行ったりするんです。

でね、アタシ、元々いい加減な酔っ払いオジサンじゃ
ないですか。

実習に来た子達に「大丈夫、大丈夫~、しらんけど
みたいなノリで接するので、学生さんからするとお気楽
極楽な実習先、みたいなんですね。

そうするとね、他の病院で不合格になって追加の実習を
受けなきゃならない、って学生さんを頼まれることが
多くなるみたいなんですよ。

一番多かった時は年間に12~13人受け入れた学生さんの
半分は不合格がついたことのある学生さんだったとか。

恐らく日本でも屈指の「バツ持ち受け入れまっせ病院」
だと思うんですよね。知らんけど~。

で、先日担当した学生さんもなかなかのツワモノでした。

仮にA君としておきますが、彼が前回の実習先で貰った
評価がもの凄くて。

細かい部分は割愛しますけど、「繰り返し指導しても修正しようと
する
姿勢が見られない」ってのが何項目もついてるんですよ。

いやいや、修正しようとする姿勢が見られないってなかなか
つけられない評価なんで、どんな子が来るのか楽しみにして
たんですね。

そしたらね、案外フツーな子なんです。挨拶もするし、言葉は
無理やり敬語使ってます!感にあふれてましたけど。

ただね、恐ろしく知識量が足りないんですよ。イメージとしては
小学校6年生なんだけど、九九は覚えてません!くらいでしょうか。

でね、聞いてみたんです。

自分「理学療法士になろうと思ったきっかけは何だったの?」

A君「学生時代にケガをして。その時診て貰った理学療法士の先生に
憧れてこの道に進もうと思いました。」

自分「そっかぁ。野球少年が大谷選手にあこがれてプロ野球選手を
目指すのと似てるよね。」

A君「そうかもしれませんね」

自分「じゃあさ、プロ野球選手目指そうと思ったらメチャクチャ
練習すると思うんだけど、A君は学校の勉強頑張って来たの?」

A君「あんまりやってませんでした。」

大体ね、このパターンなんです。憧れて入りました。でも思ったよりも
大変でそれなりにやって何とか進級してきたら現場に出てヤバいことに
なってます、みたいな。

こーゆー時に「もっと頑張らなくちゃダメじゃないか」、みたいな
正論を言っても響かないと思うんですよね。響く子ならそんな状況に
なってないし。そもそも学校の先生たちに散々言われてきただろうし。

で、どうするかっていうと最終兵器クラスの患者さんをあてるんですよ。

数は少ないんですけどいるんです。学生さんがシドロモドロだったり
失敗して何回もやり直しが必要になっても、嫌な顔ひとつせず笑顔で

患者さん「若いうちは失敗するものよ。頑張って良い先生になってね」

ってハゲましてくれる患者さんが。もうね、これで大体落ちます。
警察の取り調べで「お母ちゃんが泣いてるぞ」っていうのと同じくらい。

学生時代にA君がこの仕事に憧れたのって、けがの治療を通して
本気で応援してくれた理学療法士の存在だったんですよね。たぶん。

その憧れの存在に自分がなるためには何をしなくちゃいけないか、
それが見えなくなってるんだと思うんです。

そんな時に、メチャクチャな自分でも本気で励ましてくれる患者さんに
出会うと、「オレ何やってたんだろ」って思うみたいなんですよねぇ。

この本気の励ましがペップトークに繋がると思うんですけど、それは
また別の機会に書こうと思います。

で、A君もそんな患者さんにモチベーション上げて貰って、何とか合格
して学校に帰っていきました。

A君「今回の実習では患者さんに救われました。本当にありがたかったです。」

って言葉を残して。

いやぁ、いい話し書いちゃったかも、って思ったけど、結局患者さんに丸投げで、
自分は何もしてないって気付いちゃったから笑ってごまかしておこうっと。

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