Day6. 双子の父に『はぐれメタル』を

おばさんA「お子さんいるんですか?」


父「えぇ、上に男の子と3歳離れた双子の女の子が」


おばさんA「まぁ、かわいい!」

双子って言うとですね、たいがい言われるんです。
見たこともないのに「かわいい!」って。
まぁ、そこまでは良しとしましょう。
問題はその次です。

おばさんA「双子じゃ大変だったわねぇ、奥様が」


おばさんB「そうよねぇ、相当苦労されたんでしょうねぇ、奥様


おばさんA「一人でも大変なのに2人いっぺんじゃねぇ」


おばさんB「ねぇ、ホントに。奥さん大事にしなさいよ」

これだ。

確かに双子を産むのは大変ですよ。
だから産前休暇も14週も取れる。
6週間の2倍じゃないところにヤバさがにじみ出てる。

でもね、でもね、

だって大変なんですよ。

産休中とはいえ奥さんが昼間、双子を見るじゃないですか。

夫が仕事終わって帰る頃にはリビングで幽体離脱
してたりするわけですよ、妻が。


「あいつらに、あいつらにやられたんかぁ~」
みたいな。
「ちっ、母親が寝かしつけられててどうすんねん」
って頭をかすめますけどね、ホントは。

で、その傍らにごろごろ転がったぬいぐるみ
みたいな双子と、3歳になったばかりの赤ちゃん
返りした長男がいるわけです。

「こっちだって仕事で疲れてんだよ!」なんて
口が裂けても言えないですよね?


戦場で仲間が倒れてるときに
「お前、何やられちゃってんだよ!」
なんて言わないのと一緒ですよ。たぶん。

仕方なく一人ずつ風呂入れて
長男に絵本を読んで寝かしつけて、
双子もそれなりにあやして寝かせるでしょ。
で、長男の保育園の準備とかしてやっと眠るわけです。

そうすると、夜中に来るんですよ、アレが。

ふんぎゃー、んぎゃーあおぅー

って。ブルースリーじゃないですよ。

伝説の授乳タイムです。

妻は長男の時から母乳が出ないタイプで
完全に粉ミルクだったんです。

そうするとですね、
「どうしてもオッパイあげなきゃ」
がなくなるんですよね。

すると当然

「泣いてるぞ、俺オッパイ出ないから頑張れよ」、
攻撃が使えないんですよ!


ヒノキの棒ではぐれメタルと戦うみたいなもんですよ。
倒せるわけないじゃないですか。

仕方なく起きてミルクを作って、とんとんゲップって
やって、
「あーやっと終わった」って30秒で眠りにつくと
30分もしないうちに

「ふんご、フゴフゴおぎゃーうぁー


ってもう一人が。

そうなんです、双子だからって一遍に授乳できるなんて
ほぼほぼ無いんですよ。

何かの断眠実験やってんのかな、って思いながら
ミルクあげて、とんとんゲップやって
魂抜けるとまた起こされる、の繰り返しですわ。


3歳までの子供がいる親には1時間の昼寝権と
昼寝のための設備を確保する法律とか
作って欲しかったですよ、マジで。

で、何のはなしだっけ?

あぁ、そうだ
夜中の授乳、父も随分と頑張ったんですよ。
我が家は共働きなので家事は半分こ、
がローカルルールでした。

だからね、おばさまたちに冒頭のようなこと言われると
ちょっとイラっとするじゃないですか。

でも、そこでムキになるとちょっとカッコ悪いし。

だからね、双子のお父さんに会ったら
ぜひ言ってあげて欲しいんです。

「ヒノキの棒ではぐれメタルと戦うくらい
大変なんでしょ?頑張ったわねぇ」

って。

ん?なんか違う?

分からなくなっちゃった時は笑ってごまかそう。

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