あれは長男が2歳半くらいの頃でした。
当時、大船駅の近くの保育園に通っていたんです。
駅から歩いて10分弱くらいですかね。
その日は双子を妊娠している妻の代わりに
僕が迎えに行ったんです。仕事終わってから。
電車に乗って、駅からテクテクと歩いて。
大船駅の周りって昔ながらの商店街があって、小さなお店が
たくさん残っていたんですよ。
八百屋さんとか魚屋さんとか豆腐屋さんとか。最近では
見かけなくなっているそんなお店がある元気な街でした。
夕方お迎えに行く時に通ると威勢のいい八百屋のおっちゃんの
掛け声が聞こえてきて。そんな中を仕事が終わってちょっと
リラックスした表情のサラリーマンが買いものしてたりして。
ほんわかしてて、結構好きだったんですよねぇ。
昭和な感じの雰囲気でした。
で、ヨチヨチと歩く息子と、『晩御飯何にするかねぇ』
何て言いながら歩いてたんですね。
そしたら珍しく
長男「お腹痛い。抱っこ」
って言うんですよ。
保育園帰りなので、着替えやら何やらでそこそこ
荷物を持っていたので面倒くせぇなぁって思って。
父「歩けるでしょ?」
って言ったんですね。でも
長男「お腹痛い」
って。
あー、またその作戦か。面倒くさくなったら
腹痛いって言えば済むと思ってコノヤロー。
って思ったんですけど、仕方なく抱っこしたんですね。
ちょっと抱っこしたらまた一人で歩くだろうって。
そしたらね、ホントに具合悪かったみたいで。
すぐにウトウトし始めたんですね。
関係ないんですけど、子供って寝た瞬間に重くなる
んですよ。あれ、何でですかね?ま、いっか。
で、こんなトコで寝ないでくれよぉ、今日は電車だぜって
思いながらちょっと歩いていたら
ブリッ、バベベブブゥ~
みたいな音がしたんです。かなり激しく。
「通りの真ん中で屁こくなよ。俺がしたと思われる
だろ、まったく。」
って思ってたら
次の瞬間、抱っこしているお腹に生暖かい感触が。
待って、こいつ、おしっこ漏らした?
いや紙オムツはいてるのに漏れるか?
って考えながら恐る恐る長男を少し前に持ち上げて
みたんです。
そしたらね、う〇こ。しかもチョーみずみずしいヤツ。
それがオムツからもれて僕の腹にまで垂れてたんですよ。
マジかー、街の真ん中でう〇こまみれの40歳。
しかもメッチャ臭いし。下手したら通報されるレベルですよ。
「町の真ん中にう〇こマンがいます」って。
40年生きて来てこれほどのピンチは初めてでした。
その時、替えの服とかオムツとか全然持ってなかったんですよ。
いつも平気だから大丈夫だろう、って。
そんな時、人間って一瞬で色々考えますよね。
タクシーに乗るか?いや、この臭さで乗ったら
絶対運転手さんに気づかれちゃうし
電車?帰宅途中のサラリーマンで一杯の電車にこいつと
一緒に乗ったら地獄絵図になっちゃう
歩く?無理!う〇こまみれの15kg近いこいつを抱えて
1時間も歩けない
グルグル、ぐるぐる。
どうやったら家にたどり着けるのばっかり考えてるんです。
一刻も早く逃げたかったんでしょうね、その状況から。
普通に考えて、まずう〇この処理しろよって
話しなんですけど、正気に戻るのに少し時間がかかりましたね。
で、結局コンビニでオムツとウェットティッシュを買って
トイレを貸してもらって。
まずはう〇こまみれの体を拭いてから、オムツを替えて。
保育園から洗い物として返された昼間着ていた服に着替え
させました。
問題は自分ですよ。どうするう〇こマン、みたいな。
返却された洗い物の中にタオルがあったので、それをお腹に
あてて、キレイになった長男を抱っこして。
駅ビルにあったユニクロに駆け込んでなるべく気付かれない
ようにダッシュで自分用のシャツを買って。
それからトイレで着替えましたよ。
その事件以降はどんな時でも替えのオムツと
着替えを持つようになりました。
いやぁ、あの時はホントに辛かったなぁ。
でも、もっと辛かったのは長男だったはずなんで。
もうちょっと労わってあげれば良かったのになぁって
今だと思えるんですけど。
辛い想い出も時間がたつと笑い話になるって分かったから
今日も笑っておこうっと。
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